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ダレかボクに微笑んで 気づかれない真実を知って下さい
  PROFILE
HN:
雅猫(みゃこ)
HP:
性別:
男性
趣味:
猫とじゃれる
自己紹介:
07/07/15,Blog開始。
08/11/11,「雅猫」に改名。

みやびなネコと書いて、
「みゃこ」と読みます。

ごらんの通り相当な猫好きです。にゃー。



★コンテンツ★

古手梨花 セリフ集
  更新履歴
11/06/07 : コンテンツ追加       11/02/13 : リンク修正
[782] [781] [780] [779] [778] [777] [776] [775] [774] [773] [772]
2024/04/26 (Fri)
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2009/08/16 (Sun)
小鳥遊 まひる



プロフィール

誕生日/7月15日
血液型/B型
身長/152cm
体重/39kg
所属/風見学園付属1年3組
部活/帰宅部
好きなもの/そーすせんべい、例え話


小鳥遊まひる/攻略

【攻略条件】
●SSPルート
●12/20~30の間に聞ける「学園七不思議」を全て聞く(7種類)
●12/23に「昇降口」でまひる様に会えれば成功。

12月16日(木)
○「それ以外にしよう」
○「残念だけど断る」

12月18日(土)
【移】 音楽室
【移】 芳乃家

12月19日(日)
【移】 芳乃家
【移】 芳乃家
○「委員長を送っていく」
『目覚まし』 ねぼう

12月20日(月)
【移】 音楽室(七不思議)
【移】 昇降口(七不思議)
『目覚まし』 ねぼう

12月21日(火)
【移】 教室(七不思議)
【移】 廊下(七不思議)
『目覚まし』 ねぼう

12月22日(水)
【移】 昇降口(七不思議)
【移】 廊下(七不思議)
『目覚まし』ねぼう

12月23日(木)
「まひる様エンド」
【移】 昇降口(七不思議)
【移】 昇降口

「バッドエンド
【移】 昇降口以外
【移】 昇降口


小鳥遊まひる/セリフ集

小鳥遊まひる/セリフ集


12月20日(月)
七不思議・音楽室編
七不思議・校舎裏編

12月21日(火)
七不思議・理科室編
七不思議・トイレ編

12月22日(水)
七不思議・昇降口編
七不思議・屋上編

12月23日(木)

七不思議・踊り場編
自称幽霊少女
踊り場



「…………」
「……へ?」
「…………」
「…………」
「…………」
「わわ!」
「わたしが……わたしが見えてますか?」
「だから、あなたにわたしの姿がみえてますか?」
「あ、あの!」
「うわ~」
「あ、あの!」
「わたし、小鳥遊まひるって言います!付属の1年生です」
「小鳥が遊ぶって書いてタカナシに、平仮名でまひるです」
「ってことは先輩なんですね。先輩って呼んでいいですか?」
「先輩の好きなように呼んでください」
「まひるでお願いします!」
「あぁ、良かった~。先輩に会えて」
「はい。もう困りまくりですよ。例えるなら――」
「お財布の中に五百円玉があると思って、意気揚々と……(中略)……だった事に気が付いた時くらいこまりまくりです」
「あの、実はですね、先輩」
「わたし、幽霊なんですよ!」
「もう、会う人、会う人、誰もわたしに気がついてくれなくて」
「だから、先輩がわたしに気づいてくれて、ほんと嬉しいです!」
「だから、先輩がわたしに気づいてくれて――」
「小鳥が遊ぶって書いてタカナシに、平仮名でまひるです?」
「実はわたし、幽霊なんですよ」
「どうしたんですか? 先輩」
「はい!」
「で、ですね、先輩。わたし、先輩に折り入ってお願いがあるんですけど」
「あ、わ、わわ、待って!」
「ちょ、ちょっと、待ってくださいよ~~~~」

まひるに物思う


12月24日(金)

雪の予感
成仏の方法とは?
踊り場
(『わたし、幽霊なんですよ!』)
(『もう、会う人、会う人、誰もわたしに気がついてくれなくて』)
「へ?」
「あ、あ、あ、あ……」
「捕まえた-!」
「……ほんとですか?」
「…………」
「逃げたら呪いますからね~」
「もう、昨日、逃げるなんてひどいですよー」
「ついって……あ、そういうことですね」
「わたしが幽霊だって聞いて、怖くなっちゃったんですね?」
「……ん?」
「わ、なんで笑うですか?」
「うわ、それはなんか幽霊として自信をなくします」
「そのこと?」
「はい。信じられないのはわかりますけど」
「わたし、嘘のつけない性格です!」
「あ、はい! その、会ったばかりの人にお願いするのも厚かましいと思うんですけど」
「その、わたしを成仏させてください!」
「はい!」
「いや、専門家の人たちに無理やり成仏させられるのって、なんか痛そうじゃないですか」
「それに、わたしのこと見える人、なかなか居ないんで」
「本当にちゃんとした専門の人って、どこに居るのかもわからないって言うか」
「未練を解消すれば成仏できるはずです」
「はい。わたしが死んでしまった時、この世に未練があったから、幽霊の状態で残ってしまったんだと思います」
「だから、未練さえちゃんと断ち切れれば」
「いや、それがわたし自信も覚えてなくて……」
「だから、その未練探しから手伝ってほしいな~、なんて」
「この学校に未練があるはずなんです。わたし、ここから離れたくないから」
「だから、学校一緒に回って、何が未練になっているかを探すのも手伝って欲しいです」
「なんて、ダメですかね。ダメですよね。厚かましいですよね。例えるなら――」
「デパートの地下食品外試食コーナーで……(中略)……くらい厚かましいですよね」
「ホントですか! ありがとうございます!」
「はい、まったく。ただ、先輩に会って、少し身体が軽くなったような気がします」
「でも、きっと大丈夫ですよ。先輩となら見つかると思います!」


♪ 『Especially


12月25日(土)

待ち合わせ場所は?
未練さがしの開始
踊り場
「あ、おはようございます、先輩!」
「ん? どうかしましたか?」
「やだな~、本当ですよ、先輩」
「はい。わたし、元気なのが唯一の取り柄ですから!」
「なんなら、証拠みせましょうか?」
「はい!」
「へっへ~。それじゃあ、今からこの壁を通り抜けます!」
「はい」
「って言っても、手だけですけどね」
「ん、んんん~」
「えへへ、どうですか?」
「えへ~、わたしに恐れおののいてもいいですよ?」
「うわ、即答だ」
「わわっ!」
「う、ううっ」
「手が、手が抜けません~」
「ど、どうしましょ~~」
「う~、ピンチです。大ピンチですよ、先輩。例えるなら――」
「飛び乗った満員電車の中で……(中略)……ってくらい大ピンチですよ!」
「そ、そうですよね」
「んぬぬっ」
「ふ~、死ぬかと思いました」
「慣れないことはするもんじゃないですね」
「はい。わたし、幽霊っぽいことってなんか苦手で」
「でも、これでわたしが幽霊だって証明できましたよね?」
「はい!」
「って言っても、具体的になにをすればってのはわからないですけど…」
「とりあえず、わたしと一緒に校内をまわってください」
「そしたら、なにか思い出すかもしれないですから」
「はい! それじゃあ、行きましょうー、先輩!」

理科室
「理科室に到着です」
「わかんないですけど、一応」
「…………」
「本当ですか?」
「幽霊だって怖いもんは怖いですよ。夜中にあの人体模型が動き出すかもしれないって考えただけで、もう」
「あの人体模型はもともとは生きてた人間だなんて、想像もしたくないですー」
「そ、それは、嫌でも耳に入ってきてしまうって言うか」
「作り話でも怖いもんは怖いんです!」
「うひゃ!」
「あう」
「う、う、う、動いた~」
「お、落ち着いてなんかいられませんよ。の、呪われちゃいますよ」
「へ? 悪戯?」
「そんなこと、できるんですか?」
「そ、そうなんですか?」
「それは、そうですよね」
「おばけなんて、普通はいないですよね」
「あわ!」
「あ、そ、その、ごめんなさいです!」
「……役得、ですか」
「先輩は、わたしに抱きつかれて嬉しかったですか?」
「ど、どうなんですか!?」
「…………」
「えへへ、そうなんですか」
「さてと、それじゃあ、次の場所に行きましょうか」
「ほら、先輩。行きますよ」

未練の解消?
屋上
「きれいですね」
「去年まではずっとひとりでしたから。今日は先輩と一緒で楽しいです」
「今日はありがとうございました」
「…………」
「先輩って、いい人ですね」
「そうですよ。普通、こんなの手伝ってくれませんもん。先輩はいい人です」
「ほら、やっぱりいい人です」
「ん~、今日と一緒の感じで大丈夫だと思います」
「なんとなくですけど、今日もひとつ、なにかが見つかったような気がするんで」
「はい。それが何なのかはわたしにもわからないんですけど、なんか身体が軽くなったと言うか」
「う~ん、そうかもしれませんし、違うかもしれません」
「よくわかんないです」
「そうですね。もうこんな時間になっちゃったんですね」
「わたしはもう少しここで皆さんを見てます」
「先輩は、明日、何時くらいにお見えになりますか?」
「はい。じゃあ、いつものところで待ってます。約束ですよ?」
「はい、また明日です」
「あはは、わたし、もう死んでます」

新しい日常の始まり


12月26日(日)

朝食は和菓子
幽霊のしくみ
踊り場
「さて、今日はどこを回りましょうか?」
「いえ、まったく」
「そんなものがあったら、苦労はしんませんって」
「はい」

音楽室
「あ、ピアノがある」
「あわわっ!」
「い、いきなりそんなこと言わないでくださいよ!」
「何度も言いますが、幽霊だって怖いものは怖いです」
「もぅ、この世界からお化けなんていなくなっちゃえば良いのに」
「作り話でも怖いんです。この話題はこれで終わり!」
「ん~、普段は空かないですけど、目の前で美味しそうなご飯とかを食べられると空きます。
良い匂いとかするともう我慢できません」
「はい。そう意識すれば生きていた時と同じように行動する事ができます」
「わたしはその辺の切り替えがちょっと苦手なんですけどね」
「特にありません。なんでもよく食べる。これが健康の秘訣ですからね!」
「って、ご飯の話をしてたら、なんかお腹空いてきましたよ~」
「うわぁ、もしかして、お弁当持参とかですか?」
「そうですか。ちょっと残念です」
「ホントですか?」
「なんか立場が逆な気がしますけど、楽しみにしてます」
「あ、いえ。わたしはお腹に入ればなんでも」
「いってらっしゃ~い」
「なんかピクニックみたいでちょっと楽しいですね」
「サンドイッチ、貰いますね」
「はい」
「美味しいです、先輩!」
「久しぶりのご飯だから、ホントに美味しい!例えるなら――」
「ソースせんべいくらいおいしいです!」
「あ、そっちのから揚げもください」
「ひゃんひょひふらいはえへふはへ」
「んぐ、んぐ、んぐ」
「半年くらい前ですかね」
「はい」
「そ、それは……」
「口にするのもおぞましい出来事だったんですけど、聞きますか?」
「わたし、きっと途中で泣き出してしまう自信があります」
「勢いあまって、先輩のことを呪ってしまうかもしれません」
「……それでも、聞きますか?」
「そうですよね。その方がきっと良いと思います」
「人間知らないでいた方が良いことって結構ありますからね」
「ふぅ~、ご馳走様でした!」
「先輩、ありがとうございました」
「先輩と一緒にご飯を食べられて、嬉しかったです」
「なんだろう。なんか、ちょっと身体が変な感じがします」
「はい。あ、でも、別に嫌な感じではないんですけど」
「あぁ、なるほど。その発想はなかったです」
「でも、幽霊の体に栄養って影響がるんですかね?」
「ま、理由はわかんないですけど、なんか力が溢れてきてるので結果オーライですよ」
「この調子で午後も未練探し、頑張りましょう!」

幽霊は孤独
廊下
「そうですね」
「ん~、どうなんでしょう。あったあような、無かったような」
「ん~、それは無いですけど……」
「でも、お昼にご飯を食べて、楽しい気持ちになれました」
「さてと、では昇降口に向かいましょー」

昇降口
「校門までお見送りします」
「もぅ、わかってないですね。わたしが先輩のお見送りをしたいんですよ」
「へ? 普通に上履きですけど」
「そりゃ、ありますよー。当たり前じゃないですか」
「幽霊だから足が無いなんて考え方、前時代的ですよー。考え方、古いです」
「それに足が無かったら歩けないじゃないですかー」
「ん、普通ですよ。生きてたときと別に変わりはないです」
「はい、無いです。と言うか、意識しなければ変わらないってのが正解ですかね」
「意識すれば宙にも浮けるし壁もすり抜けられる、暑さ寒さも感じない」
「その点は便利と言えば便利なんですけど。でも、そんなに意識なんてできないんです。意識するってことは気を張ってる様なもんですからね」
「はい。だから、ほんと普通にしてる分には生きていた時となにも変わらないんです」
「あ、逆に生理現象に関しては意識しないと起こらなくなったんですけどね」
「それも、すぐに感覚としては馴染んでしまうので。だから大きな変化と言えばひとつだけ」
「……人から見えなくなったってことだけです」

校門
「もう、校門に着いちゃいましたね」
「はい」
「そんなことは無いと思いますけど、なんか怖くて」
「はい。なんとなく、ですけどね」
「先輩は明日も来てくれます?」
「無理してません?」
「そうですか。わたしも楽しいです」
「それじゃ、先輩。ばいばいです」
「…………」
「はい! また明日です!」


12月27日(月)

まひるは先輩?
廊下
「そうですね。屋上にでも行ってみませんか」
「へへへ、わたしは寒さを感じませんから」
「幽霊の特権ですよ」
「それじゃ、行きましょう」

屋上
「でもいい天気ですよ」
「空気が綺麗だから、遠くまで見えますね」
「……えと、実はもう、よく覚えてないんです」
「ずっと幽霊やってますと、時間の感覚ってなくなっていくんですよ」
「何も縛られないですからね」
「毎日が自由で、自由すぎて、その境界が曖昧になっていくんです」
「……でも、確かまだ桜は咲いてなかったと思います」
「そ、それは違いますよー」
「わたし、永遠の付属1年生ですから」
「例えるなら――、日曜六時半からお茶の間を賑わせる家族アニメの登場人物みたいなものですよ」
「そ、それに、先輩が先輩でなくなってしまったら、わたしが困ってしまいます」
「え、えっと……」
「それは乙女の秘密です」

部活動
校庭
「あ、いや、その……」
「ちょっとうらやましいな~って思っちゃいまして」
「もう。幽霊相手に上手いこと言ってやった、みたいな顔しないでください」
「いいえ、わたしは帰宅部でした」
「わたし、あまり運動は得意じゃなかったですし、それに……」
「あ、いえ、なんでもないです」
「そうですね。仲間たちと一緒に青春の汗を流す」
「人生の中でもほんの限られた時間でしかない学生時代」
「その時間を、目的をもって努力する。たくさんの仲間たちと一緒に、力の限り」
「そんな時間の使い方に憧れのようなものはありました」
「頑張って、ほしいですね」
「毎日の努力が結果に結びついて欲しいです」
「ま、わたしは帰宅部も大好きですけどね」
「こうして、先輩と一緒にぶらぶらと学園内を歩けるわけですし」
「なんてね」
「さ、次の場所に行きましょう」

ふたりの終着点
踊り場
「あ~あ、もうこんな時間になっちゃいましたね」
「最近は毎日が凄く楽しいです。先輩のおかげですね」
「ほんと、毎日があっとういう間ですよ」
「先輩に会う前までは、ほんと毎日が退屈で退屈で」
「あまりに退屈すぎて、退屈死しそうでしたよ」
「ま、もう死んでるんですけどね」
「ひとりでずっと存在し続けるのは本当に辛かったです」
「でも消えることもできないし、死んじゃってるから死ぬこともできない」
「ほんと、孤独ってこんなにも辛いんだって。正直泣きそうでした」
「そんな時、先輩と出会えたんです」
「だから――」
「まさに、運命的な出会いですね?」
「はい。この場所で偶然、先輩と出会って」
「なんと、先輩にはわたしの姿が見えていて」
「そして、わたしは先輩に――」
「……あっ」
「……あ、今、ちょっと……」
「……いえ、なんでもないです」
「一瞬、なにか思い出せそうな気がしたんですけど、気のせいだったみたいです」
「ちょっと残念ですね。未練を思い出せるチャンスだったかもしれないのに」

理想の恋愛
(『ちょっと残念ですね。未練を思い出せるチャンスだったかもしれないのに』)
(『その、わたしを成仏させてください!』)
(『未練を解消すれば成仏できるはずです』)

まひる視点/回想
「……はぁ、はぁ」
「はぁ、はぁ」
「え?」
「え、えっと……」
「い、いないよ~。その、まだ、みんなのこと、よくわかんないし」
「そ、それは……いる、けど」
「や、やだよ~。恥ずかしいもん」
「え、えーー!」
「誰にも言わない?」
「…………」
「あのね、恋人は先輩がいいの。頼りがいがって、やさしくて」
「うん、それでね、出会いは突然なの。わたしが困ってる時にね――」


12月28日(火)

本音
図書室
「そうですね」
「でも、それでも良いかな、なんて、ちょっと思ってしまいました」
「あはは、ダメですよね。わたしは先輩に未練探しを手伝ってもらってるのに」
「先輩の貴重な時間を割いてもらってるんですから」
「こんなんじゃ、ダメですよね。頑張って、はやく未練を見つけないと」
「はい?」
「……先輩」
「…………」
「先輩……」
「あの……ですね」
「あの、わたし……」
「なんでもないです……」
「…………」
「う~ん、そうですね」
「未練探しにはならないですけど、また一緒に屋上に行きませんか?」
「ちょっと、町の景色を眺めたい気分です」

ミキちゃんの好きな人
まひる視点/回想
「……はぁ~」
「楽しかったから」
「毎日が楽しくて、学校に行くのが楽しくて、この時間がずっと続けば良いのにって思ったから」
「だから、我慢してたの」



「う~ん、ちょっと熱っぽいかな」
「あはは、ミキちゃん、くすぐったいよ。こういう時はおでこに手を当てて熱を測るんだよ」
「面白くないって」
「ありがとね、お見舞いに来てくれて」
「えへへ、ありがと」
「学校はどう?」
「あ~、それってなかひどい」
「ん?」
「うん」
「え~、ほんとに?」
「だ、だれなの? ミキちゃんの好きな人って」
「うわ~。そこまで言っておきながらずるいよ~」
「でも、そう言うことは、わたしの知ってる人なんだ?」
「うん」


12月29日(水)

学校の補習
大切な待ち合わせ
校門



「え?」
「あっ!」
「あ」
「遅いですよ」
「そういう時は連絡して欲しいです」
「すごく待ちました」
「いつもよりも遅くまで付き合ってくれたら許します」
「はい、じゃあ、許します」
「ほら、はやくいきましょう、先輩」

まひると明日から……
購買
「ほんとですか?」
「それじゃあ、このイチゴ牛乳を」
「わ、おそろいですね、先輩」
「今日はラッキーだったんですよ。例えるなら」
「朝の血液型占い選手権で、自分の血液型の選手が圧倒的な出遅れをして(~中略~)気が付いたら一位!
ってくらいラッキーです!」
「はい」

教室
「えー、もうですか」
「む~」
「別にむくれてなんていません」
「へ? どういうことですか?」
「……泊まり込み?」
「ってことは……」
「…………」
「ほんとですか?」
「でも、学校にはいるんですよね?」
「わたしも先輩とご一緒していいですか?」
「そっか。それなら今日は我慢します」
「あ、でも、このジュースを飲み終わるまではお話に付き合ってくださいね」



恋人
まひる視点/回想
「……さくら、か」
「……桜、見たいな」
「はろはろ~、ミキちゃん」
「うん、今日は熱もあんまりないし」
「わかってるって」
「それより、ミキちゃんの方が大変じゃない?」
「わたしのお見舞い。ほとんど毎日来てくれてるから」
「ミキちゃんにだってやることあるだろうし。無理しなくていいよ」
「……うん、ごめん。もう言わない」
「ありがとね、ミキちゃん」
「え? 大ニュースってなに?」
「…………」
「え? ほんとにっ!」
「うわ~、すご~い」
「おめでと、ミキちゃん」
「ん?」
「…………」
「……うん」
「えへへ、がんばるね」


12月30日(木)

芳乃先生の補習授業
ひとりゴミ拾い
商店街
「なんか、わくわくしますね」
「しますよー。こうして先輩の皆さんと一緒にお掃除ができるなんて、楽しみです!」
「別に掃除が楽しみってわけじゃ――」
「ご、ごめんなさい!」
「えへへ、怒られちゃいましたね」
「当たり前じゃないですか、わたし、幽霊なんだから」
「大丈夫ですよ、先輩!」
「わたしが手伝いますんでっ!」
「はい。できますよ、普通に」
「多分ですけど、宙に浮いているように見えるんじゃないかなと思います」
「自分で確認したことがないので、わかりませんが」
「そう……ですよね」
「だったら、わたし。先輩の応援をします!」
「せんぱい~、ふぁい、おー、ふぁい、おー、ふぁい、おー!」

一番大切な友達
体育館
「…………」

踊り場
「よかったんですか?」
「お友達のみなさんと一緒じゃなくて。みなさん、とても残念そうでしたから」
「それに?」
「ふ~ん、変な先輩」
「それにしても先輩たち、ほんと仲が良いんですね」
「そうですよ。ほんと羨ましいです」
「絶対に大切にしたほうが良いですよ。お友達は大切です」
「はい。とても大切なお友達がいました」
「ミキちゃんって言うんですけどね。わたしにとって一番のお友達でした」
「それで、その次は先輩かなぁ、なんて」
「ま、幽霊になってからってのがちょっと残念ですけどね」
「できれば先輩とは生きてるうちに会いたかったなぁ」
「いえ、幽霊になってからでも、出会えたことは本当に嬉しいんですけどね」

恐がりな幽霊
体育館
「……先輩、起きてください」
「先輩、先輩ってば」
「もう、先輩ってば! 緊急事態なんです!」
「助けてください先輩。わたし、大ピンチなんです。例えるなら――」
「期末試験の前日、一夜漬けでなんとかしようと思い教科書を前に(~中略~)気が付いたら朝だったって時くらい大ピンチなんです」
「あぁ、やっと起きた~」
「はい、そうです、先輩」
「先輩、大問題です」
「いいから、ちょっと来て下さい」

廊下
「わ、わたしにとってはかなりの大問題です」
「だ、だって、怖いじゃないですか」
「幽霊だって暗闇は怖いんです。お化けが出そうじゃないですか」
「今までは明るいところにずっといましたから。夜の間はそこから一歩も動かなかったし」
「意識しない限り、幽霊に生理現象はありませんから」
「でも、一回意識しちゃうとダメなんですよ~」
「今日はたくさんの人が学校にお泊まりしているので、思わず意識してしまいました」
「…………」
「うぅ……」
「それは……そうなんですけど」
「……夜のトイレってすごく不気味じゃないですか?」
「あわーー!」
「あわわわわわ」
「ううう、それはそうですけど」
「あう、わかりました」
「ぜ、ぜったいに居なくなっちゃダメですからね!」
「ちゃんと、ここに居てくださいね」
「そ、それじゃあ、行ってきます」

一緒にお布団
「えへへ」
「え? そうなんですか?」
「そうですか。自分ではよくわかんないんですけどね」
「でも……」
「あ、いえ。なんでもないです。ただ――」
「わたし、幽霊なんですよね。自分でも、たまにそれを忘れてしまいそうになります」

体育館
「…………」
「先輩、お願いがあるんですけど」
「はい、一生のお願いです」
「もう、すでに一生を使い切って人生ロスタイムに入ってますけど、一生のお願いです」
「あの、先輩と一緒に寝かせてください」
「だから、今日は先輩と一緒に寝かせてください。ここで」
「いきなりじゃないですよ。わたし、ちゃんと考えました」
「だいたい、先輩がいけないんですよ。さっき七不思議の話とかするから」
「わたし、ひとりで居るのが怖くなちゃったじゃないですか」
「どうしてですか?」
「大丈夫。わたし幽霊ですから。他の人には見えません」
「先輩はわたしと一緒に寝るの、いやですか?」
「だったら、良いですよね?」
「先輩は難しく考えすぎなんですよ。わたしは幽霊なんです」
「だから、生きてる女の子と同じように考えてくれなくて良いんですよ」
「……それなら、女の子として先輩の隣で眠らせてください」



「あはは、さすがに緊張しますね」
「……先輩、腕枕してください」
「えへへ、距離、近いですね」
「緊張して心臓がバクバクいってます」
「あ、そうか。どうなんでしょう」
「触ってみます?」
「なんだ、残念です」
「意外と意気地なしですね、先輩は」
「先輩、ありがとうございます。一緒に寝てくれて」
「役得ですか?」
「そっか。それじゃあ、遠慮なく」
「えい」
「わわ」
「えへへ、せ~んぱい」


12月31日(金)

不安感
体育館
「す~、す~」
「す~、ん、す~」
「ん、んん」
「んんん、んっ」
「…………」
「す~、んん」
「……ん、んふ」
「す~、す~」

素直じゃない幽霊
桜公園
「いいんですか? お誘いを断っちゃって」
「わ、わたしは別にむくれませんよ~」
「…………」
「しょ、しょうがないな~先輩は」
「先輩がそう言うんであれば、一緒にお掃除してあげます」

肝試しと幼なじみ
体育館
「あわ、あわ」
「ええー」
「…………」
「わたしも一緒についていって良いですか?」
「ものすごく怖いです。例えるなら――」
「一階の居間で眠っていて、夜中にふと目が覚めたら、階段を下りてくる鎧武者の足音が聞こえてきたときぐらい怖いです」
「でも、ついていかないほうがもっと怖いって言うか……」

廊下
「…………」
「……あわわ」
「そうですよ。今にもお化けが出そうです」
「あわっ!」
「…………」
「わたしもいいですよね、先輩。って言うより先輩が断れる理由がみつかりません」
「えへへ」
「は~い」
「あわわわわ……」
「そうですよ、お化けの存在を意識するだけで怖いんです」
「まさにその存在そのもが恐怖の対象です」
「……仲良しさん、なんですね」
「わたし、邪魔でしたかね」
「でも、わたしの姿がちゃんと見えていたら、月島さんはわたしのことを邪魔だって思うと思います」
「そう、ですか」

まひるの告白
屋上



「……はぁ~」
「はぁ~」
「あ、いえ、その……」
「悩みといえば、悩みかもしれないです」
「贅沢な悩みです」
「自分でもずるいなってわかってるんです」
「いけないことだっての」
「だって、この先に明るい未来なんてないんですから」
「でも、それでも、我慢できなくて」
「抑えることができなくて、あふれ出てしまう」
「好きなんです」
「先輩のことが、大好きなんです」
「おかしいですよね。わたし、幽霊なのに」
「もう死んじゃってるんですよ。わたしに未来はないんですよ」
「なのに、好きになっちゃったんです。いつも先輩のことばかり考えてしまうんです」
「我慢……できないんです。そのことに、さっき気が付いちゃいました」
「あはは、知ってます。先輩だってわたしの気持ち、気づいてましたよね?」
「今更ですよね。昨日なんて、一緒に寝ちゃったんですもんね」
「え?」
「…………」
「……でも、辛いの、先輩の方ですよ」
「……残されるの、先輩なんだから」
「わたし、ものすごくベタベタしますよ? 甘えるし、すぐにくっつくし」
「ヤキモチだってやきますよ? さっきのでわかってもらえたと思いますけど」
「先輩の何倍もわたしの方が先輩のこと好きなんですよ?」
「あはは」
「ばかですね、先輩」
「わざわざ幽霊なんて選ばなくても、いっぱい恋人候補がいるのに」
「えへへ」
「年明けですね」
「新しい一年を先輩と一緒に迎えられて幸せです」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

交わされた契約
まひる視点/回想
「春は……遠いな~」
「桜、見たかったな~」
「どうぞ~」
「で? で? その先輩は? 彼とはどこまでいっちゃったの?」
「えー、そこまで言ってずるいよ」
「……あのね、ミキちゃん。わたし――」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……キス、かなぁ」
「……うん」
「……お別れ、かな」
「でも、初恋は残らないって言うし。失恋もひとつのプロセスかなぁ、なんて」
「うん、そうだね」
「うん、がんばるよ」
「わたし、もう少しがんばってみるよ」
「幸せになる」
「約束?」
「うん、わかった」
「ゆ~びきりげんまん、ウソついたら針せんぼんの~ます」
「ゆびきった~」


♪ 『ダ・カーポⅡ~あさきゆめみし君と~


1月1日(土)

恋人同士の朝
体育館
「せんぱい、朝ですよ~」
「んもう、起きてください」
「起きないと呪いますよ」
「わ、起きてたんですね」
「そんなことないです」
「んもう、彼女の前でだらしないですよ」
「う~ん、それは嬉しいような、まだちょっと早いような」
「だって、皆さんが起きる時間になったら、こうやってお話できないじゃないですか」
「それに、はやく先輩とお話をしたかったんです」
「これでも結構我慢したんですよ。起こすの」
「あ、いや、その、寝てないって言うか……」
「興奮しすぎて眠れなかったって言うか」
「はい!」

ふたりの神頼み
神社
「はわ~~~」
「こんなにたくさんの人がいる場所に来るの、初めてですよ~」
「は~い」
「ま、いいじゃないですか。わたしと一緒に初詣に出かけてると思えば」
「むぅ、少し、なんですか」
「で、でーと」
「じゃ、じゃあ、今度行きましょう。で、でーと」
「へ? なにがですか?」
「あぁ、なるほど。言われて見れば、他の場所とは少し違った空気を感じますけど……」
「別にわたしの身体に影響はないみたいですよ」
「わたしもよくわかんないですけどね」
「ん? なんか変なこと考えてます? 先輩」
「ふ~ん、そんなウソついたってわかりますよ」
「どうせクラスメイトさんたちの巫女姿のこととか考えてたんでしょー」
「それは……って言うと、なにか別のことを考えてたんですね?」
「神頼み?」
「…………」
「あはは、幽霊と一緒にいられることを神様にお願いするって、なんか変ですね」
「でも、それだったらわたしもお願いしようかな、先輩ともっとラブラブになれますようにって」

生徒会の好意
学園前
「ん? どうかしましたか?」

中庭
「すごい人ごみでしたもんね」
「ほら、先輩。早く食べましょうよ」
「あー、その言い分はひどいなー。わたしだって食べたいですよー」
「それは幽霊に対する差別です! 幽霊だって労働をしたらお腹がすくんです!」
「どうかしたんですか?」
「あー、それ、わざとじゃなかったんですね?」
「あ、や、だって」
「こうやって」



「はい、あ~ん」
「てっきり、これがやりたいのかなって思ってました」
「だ、ダメですよ先輩! それは無粋です。例えるなら――」
「ご飯の時、恋人がノリノリであーんってやってるのに、それを無視して他の食べ方を提案するくらい無粋です!」
「とにかく、お箸なんてひとつあれば十分なんです。はい、先輩、あ~ん」
「えへへ、おいしいですか?」
「じゃあ、次は先輩がやってください」
「ほら、はい」
「あ~ん」
「はい、先輩。あ~ん」
「あむ」
「えへへ、間接キスですね」
「はい、今度は先輩が食べるばんです。あ~ん」

別れの予感
廊下
「ふん、ふふ~ん、ふ~ん♪」
「先輩、次はどこに行きます?」
「そうですね。あ、でも、外はきっと凄く寒いから~」
「もっと先輩にくっついて良いですよね?」
「そんなの当たり前じゃないですか。わたしが先輩にくっつかない理由が無いです!」
「はい、好きにします!」
「気にしない、気にしない」

昇降口
「もう! なんで、そういうこと言うかな-」
「せっかくの良い雰囲気が台無しです」
「七不思議の話をしたせいで、甘い空気が一瞬にして怪談モードです」
「ラブラブ~がドロドロ~ヒュルヒュル~です」
「もう、彼氏として責任をとってください」
「いや、だから、その……」
「……キス、してください」



「だ、だから、キス……してください」
「当たり前です。わたしたちは……恋人同士、なんですから」
「大体、こういうことは先輩から言うもんです」
「…………」
「…………」
「…………」
「……っん」
「……あ」
「……もう一回」
「……ん、んん」
「…………」
「……キス、しちゃった」
「わわっ!」
「せ、先輩? いきなり、どうしたんですか?」
「……先輩?」
「…………」
「あ、あはは、ますます幽霊っぽくなっちゃいましたねー」
「まだ、大丈夫ですよ。わたしは簡単に消えたりなんかしません」
「なんか、それなりにたくさんの未練があるっぽいです」
「ほら、最初の予定通りお散歩しましょう」
「夜風に当たりながら、少しお話ししましょう」

未練の解消と別れ
校舎外
「ね、先輩。やっぱりくっついても良いですか?」
「えへへ、先輩」
「やっぱり外は寒いですからね」
「うわ。どうしてそんなことばっかり覚えてるかな、先輩は。無粋だな~」
「あはは、嬉しいです」
「未練が、解消されてるんです」
「わたしの中にある未練が、少しずつ解消されているんですよ、先輩」
「…………」
「思い出したわけじゃないです。でも、少しずつ解消されていってるのがわかります」
「わたしの未練、それは複数あるみたいです」
「それがひとつずつ解消されていくたびに、わたしの存在は無へと近づいていく」
「成仏へと近づいていく」
「はい。未練のひとつが解消された結果です。そして、この先も未練が解消されるたびに、わたしの身体に変化が訪れると思います」
「…………」
「……だめですよ」
「だめですよ、先輩」
「それは、考えちゃだめです」
「はい。消えてしまいます」
「……でも、それが正しいんです」
「先輩。わたし、死んじゃってるんですよ?」
「わたし、悔しいけど死んじゃってるんです」
「わたしじゃ、先輩を幸せにしてあげること、できないんです」
「……ごめんなさい。やっぱりわたしがいけなかったんです」
「わたしが、先輩のこと、好きって言っちゃったから――」
「先輩!」
「先輩のことが好きなんです。大好きなんです!」
「わたし、好きなんです!」
「わたしだってホントは、ホントは……」
「先輩とずっと一緒に! ずっと、いたいって」
「う、うぅぅ……」

未練
まひる視点/屋上?
「…………」
「はぁ~、ダメだな、わたし……」
「……先輩」
「…………」
「大好きです、先輩」
「先輩のことが、誰よりも、何よりも大好きなんです」
「…………」
「わたしは、恋愛がしたかったんだ」
「……先輩」
「大好き、なんです……」
「……わたし、どうしたらいいんでしょうね?」


1月2日(日)

少しでも長く一緒に
最初で最後のデート
踊り場
「先輩、ほんとうに良いんですか?」
「でも補修なんですよ。補修をサボったりしたら、後でもっと大変なんじゃ」
「…………」
「……先輩がそう言うなら」
「あ、でも、だったら今日はしたいことがあるんです」
「はい。あのですね、わたし、デートがしたいです!」
「ほら、神社で約束したじゃないですか。デートするって」
「う~ん、どこかと言うわけではないんですけど。デートらしいところに行きたいです」
「その、デートしたことないので、なにがデートらしいのかはわからないんですけどね」
「う~ん、それじゃあ、ふたりで適当に町をぶらつきましょう」
「多分、それがわたしたちにとってのデートらしいデートですよ」
「は~い」

桜公園
「わ~、なんか、こういうのに憧れてたんですよ」
「恋人と一緒に公園を歩くのって、恋愛小説っぽくないですか?」
「そういうもんです! ね、先輩、手、繋いでいいですか?」
「わわ、これでますますデートっぽい」
「えへへ」
「嬉しい……ですけど、恥ずかしいですね」
「すごい、ラブラブって感じがします」
「あ、先輩。クレープ、売ってますよ」
「やっぱりデートの定番って言ったらクレープですよね」
「もちろんです!」
「はい!」

高台
「クレープ屋の店員さん、なんか変な顔してましたね」
「あ、そっか」
「なんか、ちょっと申し訳ない気持ちです」
「そうですか」
「それじゃあ、遠慮なくラブラブさせてもらいます」
「はい、先輩、あ~ん」
「へへ、他の人が見たら、ひとりあ~んプレイですね」
「例えるなら、エアギターならぬエア恋人プレイですね」
「そりゃそうですよ。なんたって、わたしのチョイスですから」
「わわ。先輩が自主的にあ~んを」
「それじゃあ、わたしも遠慮なく」
「チョコとバナナの組み合わせはやっぱり最高ですね」
「なんか、こういうやりとり、凄く楽しいです」
「まさにデートしてるって感じですね」
「あ、失敗したなぁ」
「どうせならジュースも買ってきて、ふたりでストローさして飲めばよかったです」
「すごく恋人っぽいですもんね」
「そうですね。どうせなら遊園地のオープンカフェとかでやりたいですもんね」
「だってみんなに見せつけないと。わたしと先輩のラブラブなところ」
「それが彼氏の甲斐性ってもんです」

浜辺
「はぁ~、楽しかったですね、先輩」
「はい、大満足ですよ」
「ん~~」
「なんですか?」
「わ」
「いえ、ダメじゃないです。いきなり、ものすごいストレートを投げられたのでびっくりしました」
「…………」
「……ん」
「えへへ」
「いいんですよ。恋人だけにしかみせない表情ですから」
「だいたい、先輩だってかなりだらしない顔してますよ」
「あ、先輩。もういっこだけ、行きたい場所あるんです。いいですか?」
「じゃあ、行きましょう。こっちです」

抑えられない想い
付属1年3組教室
「この場所だったんです。わたしの席……」
「で、左斜め前の席がミキちゃんの席」
「あ、ミキちゃんって言うのはわたしの親友です」
「はじめてできた、とても大切なお友達です」
「先輩、わたしね。ほとんど学校に通えなかったんです」
「だから、この席に座ったのも、ほんの数ヶ月だけ」
「わたしの人生のほとんどは、病院の白い部屋の中でした」
「わたし、人間ができてないから、すごく恨んだりもしました」
「どうしてわたしだけ、病気なんだろうって」
「わたしと同い年の人たちは元気に学校に通って、お友達と遊んで」
「――恋をして」
「でも、わたしはいつも病室でひとりぼっちで。小さい頃からずっと他の人と同じことなんてなんにもできなくて」
「だから、ちょっと拗ねてた時期もあったんです」
「ま、死んでからも未練を残して、幽霊になっちゃうくらい捻くれてますからね」
「あはは……」
「――でもね、先輩。ミキちゃんのおかげでわたし、だいぶ救われたんですよ」
「風見学園に入って、ミキちゃんと出会って」
「わたしが学校に通えた時間は少なかったけど、ミキちゃんは毎日お見舞いに来てくれました」
「そして、色んなお話をしました」
「学校の話、趣味の話、恋の話」
「ほんと、たくさんのお話をして、そして約束をしたんです」
「はい。恋をするって。理想の恋愛を叶えるって」
「ミキちゃんと一番したのは恋の話でした。ミキちゃんには恋人がいましたから」
「だから、わたしも病気を治して恋人をつくって、ミキちゃんとミキちゃんの恋人と一緒にダブルデートをしようって」
「そう約束したんです」
「それが、わたしの未練なんです」



「みきちゃんはね、わたしを励ましてくれてたんです」
「恋愛ってすばらしいよって。毎日が楽しいよ。だから、早く元気になって、一緒に恋愛しようって」
「……でも、わたし、死んじゃいました」
「多分、悔しかったんだと思います」
「ミキちゃんとの約束を守れなかったこと」
「やりたいこと、たくさんあったのに死ななきゃいけなかったこと」
「一度も恋ができなかったこと」
「色んなことが悔しくて……」
「そして、気が付いたら幽霊になってました」
「大切なこと、全部忘れて幽霊になってました」
「先輩、わたしのこと、愛してくれますか?」
「ぎゅっと、わたしのこと、抱きしめてくれますか?」
「あはは、さすがは先輩です」
「わたしの迷いを、断ち切ってくれます」
「そうですよね」
「そもそも、無理なんですよ。わたしの気持ち」
「先輩と恋をしたいって気持ちを抑えることなんて、できるわけないんだから」
「先輩、キスしよ」

♪ 『TIME WILL SHINE

最後の未練
「あ、あはは……。まだ、声は聞こえてます?」
「……良かった」
「……あの、ですね、先輩」
「多分、次で最後です」
「……あとひとつ、未練が解消されたら、わたしはこの世界から消えてしまうと思います」
「先輩のおかげですね」
「恋、しました」
「わたしが先輩に恋をして、先輩がわたしに恋をしました」
「先輩に出会えたから、わたしはこうして成仏していくことができるんです」
「胸を張って、この世界にお別れができるんです」
「ミキちゃんにも自慢できますよ。わたしの恋人の方がずっとずっと素敵だよって」
「先輩は、世界一の恋人さんです」
「だから、先輩。わたしの最後の未練、断ち切ってくれますよね?」
「ありがとです、先輩」
「先輩のこと、好きになってよかった」

涙のふたり
まひる視点/芳乃家



「…………」
「…………」
「…………」
「……ん、くっ」
「……うぅ、うぅぅ」
「ひっ……く、ん、ぐっ……」
「うぅぅっ、っくぅ……」
「はぅ……くっ、う、うぅぅ……」

幸せな風景
まひる視点/夢



♪ 『Cloudy

「ほら、先輩。はやくはやく!」
「時間はあっても急がないとダメなんです」
「全部の乗り物に乗りたいんだから」
「うわ~、先輩。また、わたしと一緒に来てくれるんですね?」
「えへへ~。そうですよね。わたしたち、恋人さんですもんね」
「でもね、先輩。ちょっと違うんですよ」
「今日、全部乗ったとしても困らないですよ」
「だって先輩と一緒なんですもの。同じアトラクションに何回乗ったって、毎回楽しいのは間違いありません」
「先輩は違うんですか?」
「ほら、だから、先輩。はやくはやく」
「当たり前でしょ~。わたしが選んだ人なんだから」
「あ、ごめんなさい。この子はわたしの親友でミキちゃん」
「あはは」
「あははははは」


1月3日(月)

最後のその瞬間まで
廊下
「先輩は今年で付属を卒業なんですよね?」
「卒パではまた無茶なことするんですか?」
「あはは、嘘ばっかり言ってる。いつもお祭りの度に大騒ぎしてたじゃないですか」
「たまに、見てましたから」
「楽しそうだな~って」
「ちょっと、憧れもありました」
「先輩、今度の卒パでは大騒ぎしてくださいね」
「今までで一番の盛り上がるやつを」
「うわ! 先輩は恋人のお願いより他の女の人の都合を優先させるんですね? ショックです。例えるなら――」
「期末試験に一夜漬けで望んだはいいものの、頑張って頭に詰め込んだ部分は(~中略~)初めて気が付いた時くらいにショックです」
「そうですよ~。めちゃめちゃショックです」
「だから、先輩は卒パを今まで以上に盛り上げないといけないんです」
「これは決定事項なんです」
「はい!」
「空の、ずっと上のほうまでみんなの笑い声が聞こえてくるくらい、盛り上げてくださいね」
「じゃ、先輩。次はグラウンドの方に行ってみましょう」

幸せになってね
屋上



「きれい、ですよね」
「それでは、最後の未練を解消したいと思います」
「先輩、ご協力、お願いします」
「う~ん、実は最後の未練、先輩はただいてくれるだけでいいんですけどね」
「わたしの最後の未練。それは、お別れですから」
「恋愛の終わり、それはやっぱりお別れです、だから、先輩はそれに付き合ってください」
「でも、初恋は叶わないって言いますから」
「…………」
「あはは。先輩、ミキちゃんと同じこと言ってます」
「でも、やっぱり最後はお別れですよ、先輩」
「なんのです?」
「ばかだなぁ、先輩は。後悔なんてするわけないじゃないですか」
「だって、わたしは幸せだったんですよ」
「この数日間、ほんと、幸せだったんです」
「やだなぁ。泣くわけないじゃないですか」
「わたしは幸せなんですから。大好きな先輩と一緒にいるのに、泣くわけないじゃないですか」
「そんなの、たくさんありますよ」
「たくさんありすぎて、困ってしまいます」
「多分、全部してもらおうと思ったら、何日あっても足りません」
「……だから、ひとつだけ」
「キス、してください。最後に、キスしてください」
「わ、嬉しいな。似たものカップルですね。相思相愛です」
「…………」
「……顔を、こっちに向けてくれれば」
「…………」
「……あのね、先輩」
「先輩も幸せでしたか? わたしと出会ったこと、後悔してません?」
「えへへ、よかったです」
「先輩、ばいばい」



♪ 『さよならの向こう側で

「そりゃ、泣きますよ……」
「泣くに決まってるじゃないですか!」
「先輩と、別れたいわけないじゃないですか!」
「大好きなのに! こんなに大好きなのに!」
「成仏なんてしたいわけないじゃないですか!」
「……それに、先輩だって、泣いてますよ?」
「…………」
「やっぱり、わたしたち、似たものカップルですね。もう、別れちゃいましたけど……」
「……先輩、そろそろ本当にお別れです」
「……やだな、先輩。そんな顔、しないでくださいよ」
「そんな顔されたら、また、未練、残っちゃいますよ」
「あのね、最後にもう一個だけお願い、聞いてくれます?」
「よかった。あのね、先輩……」
「幸せになってね、先輩」


3月15日(月)

新しい一歩
踊り場
(『空の、ずっと上のほうまでみんなの笑い声が聞こえてくるくらい、盛り上げてくださいね』)

屋上
(『幸せになってね、先輩』)




さよならの向こう側で/美郷あき

忘れないでね 忘れないから
小さくうなずいて 最初のキス

ずっと一緒に いたい気持ちは
二人おんなじなんだと どうか信じさせて



「じゃぁ、また明日」
当たり前の風景が すごく嬉しかったんだ

世界の中で ひとりぼっちで終わると思ってた

記憶の片隅に 残してほしい
ワタシという存在

忘れないでね 忘れないから
小さくうなずいて 2度目のキス
少し苦しい だけど幸せ
さよならの向こう側で キミを待ってる


自分の胸に 芽生えたこの思いには
どんな名前をつけよう

キミと出逢って 未来を諦めないでいられた

誰にも知られずに 過ごした日々
充分すぎるキセキ

キミがワタシを呼ぶとき いつも
ここにいてもいいんだと 気づけた
思い残したことは なにもない
さよならの向こう側へ 行く時を待つ


本当のことを 言うと涙が
あふれてしまうから 今は笑おう

ずっと一緒に いたい気持ちは
二人おんなじだったと 信じているよ


忘れないでね 忘れないから
小さくうなずいて 最後のキス
少し苦しい だけど幸せ
さよならの向こう側で キミを待っているよ

さよならの向こう側で キミを大好きなまま
さよならの向こう側で キミを忘れない





【小鳥遊まひる 台詞集】 by 雅猫

「2009.8/13~8/15」
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